COLUMN
SWX総研
「デスクレスSaaS」という言葉をご存知でしょうか?
一般的に「SaaS」と言われるものは、デスクワーカーがオフィスや自宅で利用するために設計されていますが、「デスクレスSaaS」は職場にPCを持たない、ノンデスクワーカーが現場で利用することを前提に開発されています。
弊社が提供する「はたLuck®︎」も、「シフトワーカー(=ノンデスクワーカー)」の方々が、店舗という「現場」で働く際に使用することを想定した「デスクレスSaaS」のひとつであると考えています。
■「デスクレスSaaS」がこれまで手つかずだった理由とは?
まず「現場」と言われる場所は、オフィスと違いWifiなどの通信環境が整っていないというハード面の理由が考えられます。例え環境が整っていたとしても例えばサービス業の店舗であれば、レジ用や店舗のPC専用で、多くのアルバイト・パート社員が使用できる環境でなかった、という場合もあります。
ソフトの面で考えると、紙とペンを使ったアナログ的な仕事をすることが「当たり前」であり、誰もそのやり方を「疑う」人がいなかったことも大きいと思います。
また現場のルールとして、「個人スマホの持ち込み禁止」など非常に旧時代的なルールが存在しており、スマホやタブレットの仕事への活用を考える上で、「ルールなので無理」という思考停止状態を招いていたとも考えられます。
■「デスクレスSaaS」が注目される訳は?
以下のように3つあると思っています。
①巨大な市場規模
日本の非正規雇用者(アルバイト・パート社員など)は現在3,700万人と言われており、労働力人口の約60%が非正規雇用者の多いサービス業と呼ばれる業界に従事しています。またアルバイト、パート社員はいくつか掛け持ちで仕事をすることも多く、企業ID課金で考えると、この2倍から3倍程度のID数課金ができるという、ものすごく大きな市場だということです。
②グローバルプレイヤーがいないこと
TeamsやGoogle Workspaceといったグローバルプレイヤーが提供するグループウェアは、デスクワーカーにとって非常に有効なツールではありますが、自分専用のデスクやPCを持たないシフトワーカーにとってはスペックオーバーであり、ID単価が高すぎて週2・3日勤務のシフトワーカー全員にまで導入する事は現実的ではありません。よって事実上、MicrosoftやGoogleなどグローバルプレイヤーが競合として存在しない市場でもあります。
③既存のデスクワーカー用SaaSではカバーしきれないため
先述のように、ノンデスクワーカーにはもっと絞られた、適切な機能を、リーズナブルな料金で提供することが求められます。
例えば、デクスが無い、つまり立ち仕事を想定すると、画面を見ながら瞬時にタスクを理解し動くことができるよう、スマホやタブレットなど携帯できるデバイスを使用することが前提で作られているソフトウェアでなければなりません。またユーザーが学生・主婦・フリーター・シニア・外国籍といった、多岐に渡る中でも一様に「使える」ものでなければ現場で使われることはないでしょう。そうなると、既存のデスクワーカー用ソフトウェアでは転用は難しく、その領域に特化したソフトウェア開発が必要になります。
■ノンデスクワーカーの業務こそデジタル化が必要
人口が減少する社会において、労働力を確保するため、また多様な人材を職場に受け入れていくためにも、ITによって業務負荷を減らし業務効率を上げることで「働きやすい職場」を作る必要があります。
また店舗サービス業であれば、店舗と会社(本社)、店舗内の従業員同士をITで繋げることで、企業や店舗として大切にしている理念や価値観、会社としての取り組みなどを分かりやすく発信し、従業員全員に情報をOPENにしていくスタンスは一体感を醸成し、「働きがいの向上」を実現していきます。これまでの従業員との関係性を築き直し、従業員の仕事に対するマインドを前向きにすることで、サービスを受ける側の顧客体験が高まり、収益の向上に寄与していきます。この2つの「業務」と「関係性」の変革こそが、「デスクレスSaaS」の存在意義になってくると思います。