COLUMN
SWX総研
最近、近所の行きつけの店の店主が「友人が経営する飲食店は、緊急事態宣言が解除されてもお店をフルに開けられないでいる」と嘆いていました。それは以下のような理由からでした。
①アルバイトが採用できずにシフトが埋まらず、店を開けることができない
②アルバイトを採用できたが、教育に時間が取れず、営業ができない
サービス業において人手不足はめずらしいことではありません。
しかし今回のそれは、緊急事態宣言が解除され飲食店の求人件数が一気に増大したことで、需要と供給のバランスが壊れてしまったことで起こっている現象です。緊急事態宣言中に飲食店で働けなかったアルバイトさんたちが他の仕事に就いてしまい、飲食店の仕事に戻ってこない、ということだと思います。
それにより、人手不足がかなり深刻になっているのです。
需要と供給のバランスが壊れてしまっている現状では、有効な手段は限られています。
求職者に対し、他店よりもメリットを打ち出すという、採用の入り口対策が重要です。
例えば、既存のアルバイトスタッフから友人などに声がけしてもらうリファラル(紹介)を行う、
リファラルで採用が決定した場合、紹介してくれたスタッフにインセンティブを渡す、
また求人広告費等がかかっていないため、その分を応募者に「入社おめでとう」という意味の謝礼を出すなども有効です。
人が採用できず、店を開けられないまま出してしまう損失より、ずっとリーズナブルだと思います。
仮に採用ができたとしても入社後に長続きしてもらわないと、常に採用・教育コストがかかるため、採用後の育成やフォロー体制を整える重要性も増しています。スタッフの入れ替わりが激しい店は、既存スタッフにかかる業務負荷も大きくなり、既存スタッフの離職にもつながっていきます。
結局、採用することがゴールではなく、採用した人が「働きがい」を持って仕事ができるお店づくりにシフトすることが重要なのだと思います。
人は、仕事ができるようになっていくことで、仕事が楽しいと思えてきます。ずっと同じことの繰り返しでは、仕事はつまらないものになってしまいます。
いかにして、スタッフのできることを増やし、お店に貢献できているかを感じさせられるようにするかが重要なのです。
コロナを経て「さあ、ここからが勝負!」というところに「人が足りない」という大きな落とし穴が待ち受けていた形になりましたが、こういう時こそ「働きがいある店づくり」という本質的テーマに立ち返り、スタッフが長く継続的に勤務してくれることが、お店全体のサービス品質の向上につながると信じて、お店の各施策を点検してみると良いと思います。