COLUMN
SWX総研
ーツナグ・ソリューションズ社との業務提携によせてー
コロナショックがもたらした「接触しない」という新しいパラダイム
新型コロナがもたらしたものは、何か?と考えたときに真っ先に浮かんだのがそれです。
「人との接触ができない」ということが、私たちの日常生活やビジネスでの常識を180度変えてしまうものだったからです。
自粛要請が解除され、一部国境も開放されてきた現在でも、世界中でソーシャルディスタンシング*が実施され、ビジネスも在宅勤務が推奨されています。これは、会社に出社するというこれまでの「仕事の常識」を変え、「基本はリモート勤務」という新しいパラダイムを作りました。また、それによって多くホワイトカラーの業務がオンライン化され、対面での会議や訪問営業は、ZoomやTeamsを使ったオンライン面談で効率よく実施するように変化しました。私のスケジュールも“オンラインファースト”で組まれてきています。このような利便性や効率性を一度経験してしまうと、これまでのような「移動に伴うコスト」を払う気にはなりません。
このようにコロナによって、不可逆的なパラダイムチェンジがまさに全世界で起こっているのです。
*人の心理的な距離を示す「ソーシャル・ディスタンス」と区別して、「感染拡大を防ぐために物理的な距離をとる」という意味で使用される言葉。
「対面接触」で価値提供する店舗サービス業はどう変わるべきか?
欧米では社会インフラに従事する労働者(医療従事者や警察や消防、公共事業、銀行、食品スーパー、ドラックストアなどに従事する人々)を「エッセンシャルワーカー」とリスペクトを込めて呼び始めるようになりました。これまでの労働者の区分は、工業化やIT化の促進によって「ホワイトカラー」と「ブルーカラー」という区分がされていたと思います。しかし、今回のコロナによって「リモートワーカー」と「エッセンシャルワーカー」という新しい区分が誕生したと言えます。
エッセンシャルワーカーは、社会インフラを守る仕事として、どうしても「対面による人との接触」が必要になってしまう仕事です。このような社会インフラに必要な仕事(ここでは主に店舗サービス業)に従事する人々の業務が、本当に全て「対面接触」しなければ成り立たないのかと言うと、そうではないと思います。
例えば、新しい採用者を面接することも、採用後に教育をすることも、業務連絡を共有することも、シフトの調整をすることも、全てオンラインで提供することが可能です。しかしこのような業務についても、実際は未だ、店舗に来なければ処理できない環境が多く残されています。「対面接触」が彼・彼女らのコア業務だとすれば、前述のような非コアな業務については出来る限りオンライン化し、感染の確率を極限まで下げ、安心・安全に働くことができる職場づくりというものが、エッセンシャルワーカーには必要だと強く思うのです。
非コア業務のオンライン化は、移動に伴うコストの削減や業務の効率化も利点になります。ホワイトカラーのリモートワークを可能にさせたのが会社が社員の自宅を借りるという発想だとすると、エッセンシャルワーカーのリモートワークを可能にするには、会社が社員(アルバイトも含む)のスマホを借りることができるかどうかということになります。
これはBYOD(Bring Your Own Device=個人端末を仕事に用いること)と呼ばれ、サービス業の業務効率化の鍵を握っていると言われています。しかしこれまで日本は、炎上動画等の問題で、BYODに関して固く扉を閉ざしてきました。しかし、コロナによって「非接触」を進めながら、業務効率を高め、生産性を上げるためには、BYODが不可欠であると思っています。
今回、ツナグ・ソリューションズ社との業務提携によって、採用から育成、店舗の非コア業務がオンライン化されることで、第一に安全・安心な職場環境が整備されること、第二に、それによって仕事の体験価値が向上すること、第三に、それがサービス業の生産性向上につながることを願っています。