COLUMN
SWX総研
人手不足が深刻化しています。
リクルートワークス研究所が2040年までの労働力の供給と需要について発表した資料によると、2030年には商品販売員で40.2万人、接客奉仕・飲食物調理で17.9万人が不足すると予測されています。
2023年のグラフカーブの現在でもかなりの人手不足を感じることを考えると、これからの需要と供給の乖離を考えるとかなりゾッとします。今から「働きやすく、働きがいのある職場づくり」を本気で考え、実行する必要があると思います。
出典:リクルートワークス研究所「未来予測2040」より
さて、話を現代に戻すと、店長が複数店舗を兼務することが常態化しています。もし、店長がいない店舗のスタッフが「言われたことしかできない」「言われたことしかやらない」ような状態だった場合どうなるでしょうか。
例えば、5月は25℃を超えるような夏日が続いた週がありました。おそらく「日焼け止めクリーム買わなきゃ!」と思った消費者が増えたと思います。
その時、ドラッグストアの店長が不在で本部からの指示が伝達されず、売場に日焼け止めクリームが陳列されていなかったとしたら、どうなるでしょう?すぐに他店舗で購入されてしまいます。そのお客様が日焼け止めクリームを1年に何回購入するでしょうか?多くて2回だと考えると、すでに一度のチャンスを逃してしまったことになります。この一度の「機会損失」は取り返すことができないため、小売業にとっては大きな損失になるのです。
同じような例ですが、最近「スーパーマリオブラザーズ」の映画が大ヒットしています。私も6歳の息子と見に行ってきましたが、本当に面白い作品でした。帰りに息子が「グッズが欲しい」と言うので、映画館のエントランスでマリオのぬいぐるみを探したのですが、ほぼ売れ切れていたのか、そこには無く、近くの家電量販店まで買いに行きました。そこにはマリオのコーナーが大々的に展開されており、あらゆるグッズが陳列されていました。このように欠品してしまうことも大きな損失になります。基本、同じぬいぐるみを2個買うことはないからです。この消費も二度と戻ってくることはありません。
よって、本部の指示が徹底されなかったことによる「機会損失」や発注タイミングや売上予測が正しくできなかったことによる「欠品」は、取り返しのつかない大きな損失になります。特に、チェーン店展開で数百店舗あるような企業において、そのような場合の損失は巨大な額になってしまいます。
よって、いかに店舗では「重要な業務情報」が瞬時にスタッフに一人ひとりに行き渡り、店長や社員がいなくてもアルバイトスタッフが自ら考え、行動できるかが肝心なのです。
そして、この”自立的に行動を起こせるスタッフ”が多い店舗を作ることがさらに重要です。
私たちは「言われなければやらない」「言われたことしかやらない」といったスタッフではなく、お客様のためにスタッフが自立的に行動ができる店舗が、”働きがい”がある店舗だと考えています。そのような店舗づくりをするためには、業務情報がスタッフ一人ひとりまで行き渡り、実行度合いが可視化され、適切に評価されるべきだと考えます。
この深刻な人手不足のなかで、スタッフ一人ひとりの意識や行動を変え、生産性の高い店舗を作ることにこだわり「働きやすい」職場づくりをしていけるか。それが本当に必要なタイミングにきていると思います。