COLUMN
SWX総研
日本政府による水際対策の緩和により2022年9月7日以降、新型コロナワクチンの3回接種証明書を保持している全ての帰国者・入国者については、出国前72時間以内の検査における陰性証明の提出を求めないこととなりました。
【日本出発前のPCR検査不要の国一例】※2022年8月31日現在
・ベトナム
・タイ(ワクチン未接種者は必要)
・マレーシア
・シンガポール(ワクチン未完全接種者は必要)
・インドネシア(2回接種の場合、国内移動に必要な場合あり)
・ヨーロッパ各国(イギリス・フランス・イタリア・ドイツ・トルコ)
・アメリカ(ハワイ含む)
・カナダ
・オーストラリア
観光資源を経済の中心に置いている国々では、すでに水際規制を大幅に緩和しています。
来月11日には日本でもさらに規制が緩和されるため、戦略的なインバウンド需要の獲得が重要になってきます。特に円安が進んでいる現状では、日本に輸入する物の値段は上がりますが、観光地として日本は非常に魅力的な旅先になっています。
日本のこれまでのインバウンド消費・観光消費は、モノの購買に偏っていたこともあり、大都市での宿泊が中心になっていました。今後は、地域の豊かな自然や文化芸術等の強みを活かし「高付加価値な体験型観光」へのシフトが期待されています。
※先進諸外国でも「高付加価値旅行市場」に取り組んでおり、同市場の主力である欧米豪5カ国(米、英、独、仏、豪)の市場規模は約4.7兆円に達しています。
観光庁でも「高付加価値旅行」への取り組み強化が叫ばれており、消費意欲が高い旅行者の地方への誘致を拡大し、地域の活性化や雇用・所得の増加、日本全体の観光消費額の効果的な拡大に取り組む観点から「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会」を開催し、検討を進めていくことが宣言されています。
世界中の旅行者を惹きつける上質な観光体験を提供することで、地方を中心に人口減少が続く中での消費需要の創出と観光サービスの雇用創出、地域経済の活性化という流れを起こす必要があります。
この日本の「高付加価値型観光立国化」を実現するには、上質な宿泊施設の開発や観光体験コンテンツの磨き上げることが重要になります。特に、旅行者へのサービス体験提供を支える人材の確保・育成は急務になります。地方での生活に根ざした、その地域ならではのサービスを提供することが求められてきます。
その実現には、リアル店舗や施設を持つ事業者と従業員が主役となります。その場所で、そこで働く人たち、生活する人たちが作り上げるサービスこそが、観光者を惹きつけるからです。
円安による物価高、値上げに対して臆病になることなく、今こそ、高付加価値型のサービス提供にシフトすることが必要です。国内旅行回帰の流れをしっかりと掴み取ること、そして外国人旅行者に対して、体験価値の高いサービスを提供すること。この記録的な円安を武器にした経営に転換できるかどうかがその先を決定づけることになると思います。