COLUMN
SWX総研
先日、遅い夏休みをいただき親孝行旅行をしてきました。
お客様が運営されている、伊東高原にある宿泊施設に今年もお世話になりました。
伊東は、東京から新幹線で1時間弱で行けてしまうアクセスの良いリゾート地です。熱海、伊東で採れる魚介類と高原で飼育されている畜産物の両方を楽しめる場所です。
宿泊させていただいた施設は、旧迎賓館をリノベーションした建物。現代の建築技術や材料では「造りたくても、もう造れない」というくらい美しく魅力的な施設(ハード)です。
事前に両親と宿泊することを伝えていたため、2世帯で宿泊できるように和室と洋室に別れたお部屋を用意していただけました。宿泊者それぞれのプライバシーを考慮したお部屋のセレクト、このような「配慮」はとてもうれしいですね。
楽しみにしていた食事も、地元でとれた新鮮な海鮮と畜産物を使った贅沢なものでした。サーブしてくれる方の丁寧な料理説明や子供への配慮のおかげで、安心して食事を楽しむことができました。
このような「配慮」の有り・無しでは宿泊体験が全く異なってきます。施設(ハード)自体がどんなに魅力的でも、それに見合ったスタッフの方々のサービス(ソフト)が備わっていなければ、お客様にとって”価値の高い体験”を提供することはできません。
特に「食事の時間」というのは、強い”体験価値”を創出する場面でもあります。スタッフの動きや料理のタイミング(熱いものは熱く、冷たいものは冷たく)などは、キッチンとホールとの絶妙な連携なくして成立しません。スタッフ間の関係性が良く連携が上手くとれていないと、食事の提供やドリンクのおかわりへの対応が後手に回り、せっかくの料理が台無しになってしまいます。サービスの現場で的確な判断と即時行動を可能にするには、スタッフ間の人間関係の良好さが作り出す、的確な連携があってこそ、ということになります。
他にも宿泊体験の価値を高めるものとして、施設で働く地元の方々に活躍してもらう必要があると思います。自分の生まれ育った地域の食や行事など「文化」をもっと積極的におすすめし、お客様がそれを体験することで喜び、満足してくれるという、両者の「関係性」が成り立ち、付加価値の高いビジネスにしていくことが「観光産業」の今後には必要だと感じています。
今回の旅はとても満足度が高く、同じ系列の違う地区にあるホテルや旅館に宿泊したいと思いました。このように”体験価値”が高ければ、違うエリアにある系列施設へのリピーターになり、同様の宿泊体験を求めるお客様を囲い込んでいくことができます。指名買いのお客様が増えれば、しなくても良い値引きやクーポン発行などをせず、サービスだけで真っ向勝負ができます。それがスタッフにとっての仕事のやりがいに繋がり、値引きがない分、給与や待遇改善にお金を使うことができるようになります。
ただしこの「”体験価値”を高めることでリピーターを創り出すサイクル」を作り出すためには、そもそも自社のスタッフが創出する「サービスの価値が高い」ことが前提です。故に、単発バイトや派遣スタッフだけに頼らず、施設に腰を据えたスタッフが、誇りと自信を持ってサービスを提供できる環境づくりが重要だと思います。「価値の高いサービス」を提供し続けられる施設運営力を持った企業が繁栄し、その力が無い企業は敗退していきます。人口が減少していくこの時代は「人材マネジメント」を軸に経営をシフトできた企業だけが存続していくのだと感じました。